さぁ、第二回目を始めましょう。
まずは、前回“チャプター2”で書き忘れたことがありますので、そこから始めます。
チャプター2 「構想」
《3分39秒〜5分05秒》
永山さんはいきなりデッサンを始めていますが、これはすべてを見通して構図をイメージできているからです。それができていないうちに下書きを始めても大きすぎたり小さすぎたりどこかが余ってしまったり足りなかったり・・・。経験ないですか? 本番の前にクロッキー帳に描いてみて構図を決めるか、最低でも指でワクを作って覗いてみるか、デスケル(プラスチック製の覗き窓)で見てみることをお奨めします。構図は、作品そのものを決定付けるとても重要な意味を持っているのですから。
《5分45秒〜5分57秒》
楕円は描けますか?正円を斜めから見たら正楕円に見えます。静物はもとより風景でも楕円はよく出てきますよね。まず正楕円がどんな形か知っておく必用があります。正楕円の曲線は、円弧の一部でもないし、ラグビーボール型でもありませんし、陸上競技のトラックとも違います。正楕円をたくさん描いて目に焼き付けるほど練習してみてください。ビンもお皿も楽に描けるようになりますよ!
チャプター 3 〔下地作り 1〕
さぁ、いよいよ絵具を使う場面になってきました。撮影時、私も水彩画を描く者として永山さんの水使い、筆使い、色使いを目の前で観ることができ、たいへん興奮しました。やっぱり、すごいなぁ。何がすごいってしゃべりながら、特別な秘密技法を使うでもなく、(あったとすれば塩くらい)サラサラと“永山流”の絵が現れてくること。わたしもそう思うんですから、一般の方々にとっては“魔法”ですよね。
《9分50秒〜10分44秒》
まず画面全体に水を含ませるわけですが、なぜ水を手で撫でているのか興味があったので永山さんに聞いてみました。「いつもそうするんです。いつもは鉛筆でこんなに描かない代わりに、紙に水を含ませる段階で紙を撫でながらイメージしていきます。ここはこんな感じで、こっちはこういうイメージで・・・ってイメージをつかんでいくんです。」 聞いて納得。ここでもやはりイメージングの大切さが出てきましたね。
《10分50秒〜10分58秒》
次に、なぜ刷毛を逆目方向に使っているのか気になって「もしかして、紙の繊維の中に水が入り込むような気持ちで逆目で塗ってるんじゃないですか?」と聞くと、「あぁ、そうかもしれない。でも意識していなかったかも・・・。」 その後「あの後、考えたんだけどやっぱりそうかもしれないですね。」とのこと。水彩紙はサイジングが効いているので水が表面だけに浮いていることもあります。紙の中まで染み込ませようという気持ちが伝わってくるエピソードでした。
《11分02秒〜12分03秒》
DVDでは一見水を塗った後でマスキング液を塗っているように見えますが、ガラスの花瓶のところにだけ水が塗ってないことにお気づきですか?マスキング液は水を塗る前に塗り、完全に乾かしてから絵具や水を乗せるようにしましょう。マスキング液が乾かないうちに水分を乗せると溶け出して面倒なことになりますよ。
《12分03秒〜14分43秒》
さて、永山さんはここではしばらくの間アルシュという紙のことを芸大時代のエピソードを織り交ぜながらお話ししています。実は、ここでは紙に十分に水が染み込むのを待っているわけです。お気づきでしたか? 塗ったばかりの水は、サイジングの効果もあって表面に浮いている状態です。このまま絵具を乗せると表面を流れるだけで紙には入っていきません。たっぷりの水が紙の中に含まれるまで、永山さんは紙のお話しをしながら待っているのでした。
つづく>>